名古屋人以外も知っていてソンはないまち〈瀬戸〉
名古屋地名の由来を歩く
磁器生産の神様
今まで行ったことのなかった 窯神(かまがみ)神社に足を運んでみる。北側の山の上にその神社はあったが、その名と裏腹に趣は感じられない。神社の隣に瀬戸に磁器を伝えたとされる磁祖・加藤民吉の像があるが、これがなかなかいい。加藤は文化元年(1804)に九州各地で磁器製法を習得して瀬戸に伝えたという人物でいわば磁器生産の神様のような存在である。
その裏の駐車場から、長年瀬戸ものの土を掘ったあとが広大に広がっている。まるでアメ リカのグランドキャニオンのような光景で、瀬戸のグランドキャニオンと呼ばれているとか。
銀座通り商店街の奥に、地元の深川神社があり、その一角に 陶彦(すえひこ) 神社が祀られている。文政7年(1824)に創建されたもので、瀬戸 窯 よう 業 ぎょう の始祖とされる加藤 四郎左衛門景正(しろうざえもんかげまさ)(藤 四郎)を祀ったのである。
かつて繁栄を極めた瀬戸の町には至るところに煙突が立ち、煙を上げていたというが、今 では登り窯を見られるのは二カ所に限定されているという。
観光客には、いちばん奥にある赤津地区の散策路が人気を呼んでいる。
〈周辺ガイド〉
窯垣の小径:窯道具で築かれた壁や塀が見事な通り。洞町のやきものの歴史と文化を紹介する 「窯垣の小径資料館」 、市指定文化財の登り窯が残る「洞本業窯」や旧家を活用した「窯垣の小径ギャラリー」が見どころ。
深川神社:宝亀2年(771)に創建された瀬戸の産土神。瀬戸市有形文化財。境内には加藤四郎左衛門景正(藤四郎)が奉納した、国の重要文化財「狛犬」もある
〈『名古屋地名の由来を歩く』(著・谷川彰英)より構成〉
- 1
- 2